『ふたり』は、赤川次郎さんが1989年に新潮社から発表した小説で、彼自身が「名刺代わり」と語る代表的な一冊です。
物語は、亡くなった姉と妹の不思議な同居生活を描いた青春ファンタジーで、家族愛や成長、心の再生をテーマにしています。
しっかり者だった姉の死をきっかけに、彼女の存在が幽霊として妹の前に現れます。
依存心の強かった妹が、姉と向き合いながら徐々に自立していく姿が温かく描かれていて、読み終えたあとには静かな感動と余韻が残る作品です。
今回は、そんな『ふたり』を実際に読んだ感想や、おすすめしたい人、さらに映像化についても詳しくご紹介します。
ふたりを読んだ感想は?
赤川次郎作品に触れるのが初めての方でも読みやすく、それでいて心に深く染み入る物語だと感じました。
一見するとシンプルなストーリーですが、内面を丁寧に描くことにより、登場人物たちの感情がじわじわと迫ってきます。
特に印象的だったのは、妹の心理描写の繊細さです。
姉の死という大きな喪失を乗り越えながら、少しずつ「自分らしさ」を取り戻していく過程がリアルに描かれており、その成長の軌跡に強く引き込まれました。
赤川次郎さんらしく、登場人物たちの過去や心の揺れにきめ細かく焦点が当てられており、その変化を読者が“見守る”ような感覚になります。
また、物語全体に散りばめられた伏線が、終盤に向けて少しずつ回収されていく展開は見事です。
読み進めるうちに、何気ない出来事やセリフの意味が明らかになり、「ああ、そういうことだったのか」と驚かされる瞬間が多くあります。
ラストに近づくほどに、登場人物たちの選択に重みが増し、読み手も一緒になって考えさせられる作品でした。
読後感は、静かだけれど確かな余韻が残り、何度も思い返したくなるような物語です。
ふたりをおすすめしたい人や理由について!
この物語は、派手な展開やスリルを求める読者には少し物足りなく感じるかもしれません。
けれども、人の心の動きや繋がりに関心がある方にとっては、まさにぴったりの一冊です。
心の奥底にある痛みや、乗り越えたい記憶、そしてそれを包み込むような温かな絆が描かれているため、自分自身の経験と重ね合わせて読める方も多いはず。
特におすすめしたいのは、
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家族関係で悩んでいる方
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誰かとの関係に傷ついた経験がある方
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静かに心が癒される物語を探している方
といった方々です。
登場人物たちがそれぞれに過去のトラウマを抱え、それでも前を向いて生きていこうとする姿は、現実の私たちに大きな勇気を与えてくれます。
人間関係の複雑さや、心の葛藤に向き合うことの大切さがテーマになっており、読者に「自分だったらどうするだろう?」と問いかけるような深さもあります。
華やかさは控えめですが、読めば読むほど心にしみるような丁寧な作品で、静かな感動を味わいたい方には、ぜひ手に取っていただきたい一冊です。
ふたりはドラマ化や映画化されている?
『ふたり』は、映像化もされており、さまざまなメディアで愛されている作品です。
1990年にはテレビドラマとして放送され、翌1991年には大林宣彦監督の手により映画化されました。
この映画は「新・尾道三部作」の第1作としても知られており、原作の舞台である東京を、広島県尾道市に置き換えて制作されています。
実は、原作者の赤川次郎さんは、もともとこの小説の映画化にあまり前向きではなかったといわれています。
しかし、大林監督が赤川さんの意図をしっかりと汲み取ったうえで交渉に臨んだことにより、最終的に映画化が実現したそうです。
映画は原作に非常に忠実で、赤川次郎さん自身も「ここまで原作に近いとは思わなかった」と感心したという逸話もあります。
さらに、舞台化もされており、文学作品としてだけでなく、演劇や映像としても多くの人の心を動かし続けている名作と言えるでしょう。
まとめ
赤川次郎さんの代表作ともいえる『ふたり』は、人間関係の複雑さと優しさを丁寧に描いた心温まる小説です。
姉と妹の奇妙な共同生活を通して描かれる“再生の物語”は、読む人の心にそっと寄り添い、じんわりとした感動をもたらしてくれます。
また、映画やドラマとしても高く評価されており、原作と映像作品の両方を楽しむのもおすすめです。
派手さはないけれど、確かな余韻と深いメッセージを届けてくれる一冊。
ゆっくりと心で味わいたい、そんな作品を求めている方にぜひ読んでほしいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。












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